ホスト時代の話し㉘

第28話 ホストの恋愛事情 後編

彼女は、やっと玄関先に出てきたものの、ドアのチェーンはしたまんま、暫く会話したのを覚えています。しかし、彼女は一向にドアのチェーンは外さないまま。そして私を部屋に入れることなく、ずっと玄関先で。

途中から、これはもしかしたら、チェーンを外せない理由があるんだなと察しました。はは~ん、たぶん誰か男の人がいるな。そう思った自分は彼女に「誰か男の人でもいるのか?」しかし、彼女は首を縦には振らず。暫くそんな押し問答が続いたけど、もう私は「居るなら居るで出して、何にも手荒い事はしないから」そう発言すると、暫くしてから奥からゆっくりと知らない男性が。

そうだったか、まあ起きてしまった事は事実であり、仕方ない。約束した通り決して手荒い事はせず、私は頭を切り替えて彼女に、「彼と2人で話がしたいからちょっと借りていいかな?」彼女は、何か起こるのではないかと心配そうでしたが、何とか彼1人が外に出てきてくれて、朝の喫茶店で男二人が対峙して話すことに。

「私は○○という者で、歌舞伎町でホストをしています」などと何とも奇妙な自己紹介を。彼も自身の事を少し話し、あとは彼女と出会ったいきさつなどを。いきさつは彼女の友達が結婚して、そこに彼も出席していて、その披露宴で出会ったのがきっかけとのこと。

あとは、何を話したか細かい事は覚えてはないけど、肝心な話しであり鮮明に覚えているのは、その彼も彼女との関係を終わらせたくはないとの意思が伝わり、こちらとしても勿論引くに引けませんよ。

ならばどうするか?私が提案したのは、「どちらを取るかは彼女に選ばせよう、どっちを選んでも無条件にそれを受け入れる」二人ともそれで手を打って解散。彼女には考える時間として1週間という時間を与えることに。

たぶん1週間も経たないある日、彼女から連絡があり、結論は、、

彼女は、向こうの彼を選びました。

ガーン、そりゃショックでした。私は好きだったんでしょうね。その彼女のことを。しかし、結論は出たし、約束したことだし。彼女のことはキッパリと諦めました。うちの店に来てくれた時の、売り掛け金がまあまあの額がありましたが、ケジメとしてそれを精算して貰っておしまい。

しばらくは、女性不信に陥ったような。純粋な哀田青年でした。

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