AV男優時代の話⑲

私がAV男優としてデビューしてから、確か3年目ぐらいの頃だったと思います。紹介されてある有名な監督の現場に行くことに。その監督とは、あの「全裸監督」の、村西とおる監督です。

もちろん、村西監督は業界入りする前から存じ上げていましたし、村西さんの作品を見ていた側でした。まさか自分が村西監督の作品に出ることになるとは。

村西監督の現場は、もうプレッシャーが半端なかったです。なぜかというと、撮影は擬似絡みは100%無し、絡みは全て本番のみ。あの擬似スポイトには一切頼れません。なので失敗は許されません。

村西監督の現場は、レギュラーなるとだいたい月一であり、月曜日から金曜日までの五日間連で押さえられます。ギャラは正直他の現場より高くておいしい現場ではありますが、そのかわりプレッシャーが半端なかったです。撮影が始まる月曜日の前日、日曜日の夜は憂鬱でした。サザエさん見ながら、あ~明日が来なければいいのにと何度思ったことか。

撮影は、村西監督自らカメラを担いで全て自分で撮影をこなします。あの全裸監督で見るようなスタイルです。ただしパンツ一丁ではなく、服は着ていますが。

村西組は、一日に何本撮りか分かりませんが、女優さんが3~4人、男優もそれに合わせて1日に3人はキャスティングされて、だいたいシティホテルで撮影でしたが、男優は一部屋控え室を与えられて3人ともそこで待機したり休憩所となります。出番はない時はベッドに横なったり、自由にくつろげるんですが、このまま呼ばれなければいいのにと、何度思ったことか。

さて、撮影内容ですが、初めに芝居部分がだいたい20分ぐらい。監督に直前にその芝居部分のあらすじを話されて、あとは男優任せの一発勝負。芝居部分が終わると、そのまま絡みへ。絡みだけでも、途中体位を変えながら最低でも40分以上、トータルで60分以上ですね。撮れ高に達すると村西監督が、「フィニッシュ」と一言、いつでも発射していいよ。のゴーサインです。もうその頃にはヘトヘトです。それを一日に最低でも二回ある訳です。

撮影内容がまずハードであり、あとはなんと言ってもあの村西監督がカメラ担いで目の前にいる訳です。こちらがチンたらやっていようもんなら、足で蹴られそうなそんな雰囲気、あんな重いカメラを持たせて、勃ち待ちなんか出来ないですよ。そして村西さんのあの威圧感。ムスコが勃たなかったら、もう切腹もんです。斬るか斬られるか、駄目なら斬られるしかない武士の心境です。斬られる=もう現場には呼ばれない。それぐらいの覚悟とプレッシャーに押し潰されそうな、そんな現場でした。

私が村西監督と一緒にお仕事した時には、もうバブリーな時代でも無ければ、あの「全裸監督」のストーリーの後の時代ではありますが、それでも村西監督は、精力的でパワーがあり、気安くお話しなどはそう簡単には出来ませんでしたし、近づき難いオーラがありました。

だから、50億円もの借金を抱えても、普通の人ならば首吊ってもおかしくないのを、返済し終えて、そこからも分かるように、とにかくエネルギッシュな方でした。そのような偉大な監督とお仕事出来た事は、貴重な経験でした。

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