ホスト時代の話し⑧

⑧東京ってところは

憧れと夢を抱いて飛び込んだホストの世界。そしてデビューする事が出来てさて、これからどんなドラマチックな展開が待っているのか?ワクワク感に溢れていました。が、しかし目の前にいらっしゃるお客様は、なぜかおじさん。

緊張する自分に、そのおじさんは「そんなに緊張しなくていいんだよ。水割りでも飲みなさい」と、言われても、お酒が喉を通る訳がありません。当時はお酒が全然飲めなかったのと、自分が今置かれている状況を理解するまで時間が必要でした。その間、そのおじさん、いや失礼、お客さんが私の事を舐め回すように、イヤらしい目付きで、見ています。しかもそのおじさんは、私の太ももに軽くボディータッチを。どうすればいいんだ?私はまさに蛇に睨まれた蛙です。

もうその頃には、流石にどんな店なのか、段々と把握してきました。あ~そうかあ~そういう店なのか。女性のお客様がいないということは、そういうことか?要はホストが男性客に接客する店。

後からわかったのは、ウリ専?という店だったということか。ウリ専とはご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、カウンターやボックスシートなどで、男性キャストが男性のお客さんに対して接客して、そこからお客さんから指名があれば、外に連れ出されデートしたり、ホテルでのオトナ♡♡(男同士)のお付き合いといったサービスを提供するもの。

もう、私はこの場から逃げたくて、逃げたくて、どうしたらよいのか。ガチガチどころか冷や汗が。生きた心地がしません。時間が1時間ぐらい経過した頃、もう無理だ。店の偉い人(ママ?)に、意を決して「もう帰らせてください!」と言いました。

すると、店のママは「何言ってんのよ!世の中そんなに甘くないのよ!」いきなりオネエ言葉に、しかもドスが効いて迫力が。それにビビってしまい、言われるままに私はそのお客さんが帰るまで帰れず。

そのお客さんが帰っていった後、すぐさま「もう帰らせてください」と、言い残し店をさっさと後にしました。その日の時給?いや、そんなのはいいから、とにかくすぐにこの場から去りたいとの一心で、終電の時間が迫ってきた新宿駅まで早足で向かいました。

なんということだ、東京って街は。勤務時間4時間足らず、日当無し(一目散に帰ったので出たのか不明)ほろ苦過ぎるデビューに。ホストだと思って応募して採用されたところが、まさかそのような店とは知らずに、田舎もんでまだ世の中のことをよく知らない純粋な哀田青年でした。

つづく

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