ホスト時代の話し㉜

第32話 ホスト最後の日

憧れて入ったホストの世界。様々な経験をさせていただいた約3年程の夜の世界も、終わりを迎えました。凄く売り上げた訳でもなく、有名なホストでもなく、喋りもそんなに出来た訳でもなく、自分はほんとに平凡なホストであったと思います。

やがてホストとしての出勤の最終日を迎えました。特に派手なイベントをする訳でもなく、ひっそりとその日を迎えることに、ただ数少ないですが、辞める事を伝えた同じ歌舞伎町で働く他店のホストは来てくれましたが、それでもひっそりと。

そして、営業が終わってお客様も全てお見送りしたあと、店のホスト全員が残り、私が辞めるにあたり最後のミーティングがありました。ミーティングというよりは、最後の挨拶といったかんじでしょうか。

その中で、私が最後の挨拶をする時間を与えていただきました。どんな事を話したかというと、まずはこのような状況で店を離れる事について、大変申し訳ない。自分より後から入ってきたホストたちには、まだ教えられたこと、教えたかった事があったにもかかわらず、それが出来ずに志半ばで店を去ることになり、非常に残念であり悔しい。その辺になると、もう自然に涙が溢れてきて止まらず、嗚咽を漏らしながらの挨拶に。

しかし、自分が去っても次のマネージャーとなる松方がその思いを受け継いでくれて、シッカリとやってくれるものと信じているので、皆それぞれに頑張って店を盛り上げていって欲しい。声を振り絞ってそのような事を話して締めたと思います。

人前で滅多に泣くこともなく、そんな姿を見せる事が恥ずかしいとさえ思っている自分が、あのようになったのには、よっぽどの思いがあったのだと思います。

始まりの日があれば、いつか終わりを迎える日が来る。まだ思い残す事があったとしても、もう次に進むしかない。そう思うしかない最後のホストの日でした、

つづく

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