ホスト時代の話し㉓

第23話 タイマン

私がホストをしていた当時の歌舞伎町は、今ほどホストの店はありませんでした。そんななかで一部店舗とはお付き合いがあったり。お店どうしまたは店は違えどホストどうしの交流があったり。そうすると、例えば周年イベントや、ホストのバースデーイベントには、そのお店に自分のお客さんと共に顔を出してシャンパンを入れて祝ったり。

これはイベントなどではなく、ある日の営業日の出来事。うちの店の店長と交流のある同じ歌舞伎町のホスト店の代表と、ホスト3人ぐらいでうちの店に飲みに来てくれた時の話し。

まあ、普通に飲み始めた訳ですが、途中で何を思ったのか、ゲームでも何でも無いのに、その他店の自分より若いホストがブランデーグラスに並々と、注ぎそれを自ら飲み干すパフォーマンスをしだして。

そうしたら、こんどは同じくブランデーグラスに「ドボドボドボー」と音を立ててブランデーを注ぎそれを私の前に。「剛さんも飲めないはずないですよね?」

言葉には出さなかったけど、いやいやいや、無茶過ぎるだろう!しかし、そう言われて引き下がる訳にはいかないなと、自分の真面目さなのか、男気なのか、躊躇することなく断らずに飲み干しましたよ。

飲む前に、これを飲んだらどうなる事か?それは容易に想像は出来ました。今日の夜まではたぶん再起不能だろう。飲んですぐにトイレに駆け込んで、喉奥に指を突っ込んで吐いたらまだしも。でもそうしたら吐いたのバレバレだから、それはせずに。

まあ、そのホストたちがすぐに帰る訳もなく、一気に飲み干して間もなくして、グルングルン酔いが回ってその日は1日夜まで死んでました。

急性アルコール中毒にならなかっただけ、まだよかったかな。あんな飲み方はもう二度としたくないなあ。

つづく

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